立憲民主党は「21 世紀の日本社会党」か

[World Navi 2018 WINTER Vol.25 疾風]

 

 野党第一党の立憲民主党(枝野幸男代表)は、戦後日本の防衛をひどく妨げてきた「日本社会党」の再来ではないのか。

 戦後日本政治の最も大きな対立軸は安全保障だった。自民党など保守勢力は、相応の防衛力が必要と考えた。自衛隊を強化し、日米同盟の抑止力を高めようとしてきた。一方、憲法9条を掲げて反対してきたのが、社会党や共産党などの左派勢力だった。旧ソ連、中国、北朝鮮という現実の脅威を前に日本の左派勢力はじりじりと後退したが、防衛の妨げを熱心に続けてきた。

 社会党の大応援団だった自治労や日教組は、民主党およびその後身の民進党を支持するようになった。民進党が、集団的自衛権の限定行使の容認を柱とする安全保障関連法に猛烈に反対したのも頷ける。

 自治労出身の「組織内候補」として当選、活動していた江崎孝参院議員は昨年12月に民進を離党して立民へ移った。自治労が立民を支援していることを裏付けるものだ。

 枝野氏は昨年11月の特別国会の代表質問で、「専守防衛に徹する自衛隊」や「個別的自衛権の行使」は合憲で、「日米同盟は健全に強化、発展させるべき」だと語った。

 しかし、その方策は本末転倒している。「いわゆる安保法制、集団的自衛権は、立憲主義の観点から、決して許されません」と主張したのである。故意かどうかは分からないが、今、何を崩せば日本と国民を守れなくなるかの急所を突いている。

 安倍晋三政権は、集団的自衛権の限定行使の容認へと憲法解釈を変更し、それを裏付ける安保関連法を制定した。日米は守り合う関係に進化し、同盟は格段に強まった。現下の北朝鮮核危機をみれば、安保法制はぎりぎりで間に合ったことになる。

 立民はそれをご破算にしようとしている。

 日本が「やっぱりあなたたちを守るのはやめた。でも我々のことは守ってほしい」と態度を翻したら、トランプ大統領をはじめとする米国国民はあきれかえり、日本への不信感を募らせるに決まっている。日米同盟は崩れるか、空洞化するだろう。

 枝野氏は、日米同盟の強化を唱えながら、その実は同盟を崩壊に導く道へ進むよう叫んでいる。昔の社会党のほうが正直だったのではないか。

 安倍政権は昨年12月、離島防衛などのために、航空自衛隊の戦闘機に長距離巡航ミサイルを装備する方針を打ち出した。現有ミサイルに比べ、射程は最長で5倍以上となり、敵の射程外から効果的に反撃できるようになる。

 自衛隊員の安全を高める装備でもある。航空機や艦船が少ない自衛隊には、敵に接近するリスクを減らして防衛に当たる長距離巡航ミサイルのような装備が必要だ。

 将来的には北朝鮮国内などの対日攻撃用のミサイル装置を破壊する「敵基地攻撃能力」の整備へつなげていくべきだ。政府は、離島防衛に用いても、敵基地攻撃に使うにしても「専守防衛」の範囲内としている。「座して国民の死を待つ」のは憲法が認めるところではないのである。

 国民や自衛隊員の安全を考えれば、与野党問わず長距離巡航ミサイルの導入に賛成するのが道理かと思いきや、枝野氏は「専守防衛に徹し、領土領海を守る観点から過剰ではないかと強い疑問を持たざるを得ない。大きな争点にしていかねばならない」と批判した。

 立民は、集団的自衛権をめぐっては、数十年前の冷戦期にできた憲法解釈を優先し、国民を守る上で欠かせない法制を放棄させようとしている。

 国民や自衛隊員を守るのに効果的な装備は「専守防衛」に反するから強い疑問があると文句をつける。しかしこれは立民流、枝野氏流の「専守防衛」にすぎない。

 そもそも、国民や自衛隊員を守らない「専守防衛」なら「専守防衛」のほうが間違っているとなぜ考えないのだろう。

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